しらさぎプロジェクト大学開放特許データベース(単願&発明者検索)

研究者詳細情報
研究者 新田 淳美
大学 富山大学 大学院医薬薬学研究部(薬学)薬物治療学
研究室名 薬物治療研究室
専門分野 薬物治療学、神経精神薬理学、神経化学、医療薬学、薬理学
研究テーマ ・精神疾患原因遺伝子の解明に基づいた新規治療法や治療薬の開発
・認知機能障害を予防・治療するたための薬物療法の開発
・覚せい剤、大麻やニコチンなどの乱用薬物の依存形成メカニズムの解明
・医療現場での薬剤師業務に根付いた薬学・薬剤師教育学的研究
・ジェネリック医薬品の有効活用についての薬学的研究
検索キーワード
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PR URL https://shingi.jst.go.jp/past_abst/abst/p/14/1468/life11.pdf
PRタイトル名 未開の”脳”を切り拓くことにより,精神神経疾患治療薬の創出に繋がる基礎および臨床研究
PR詳細文 (図) 研究室のモットーは「病気で苦しんでいる患者さんを救うために新しい薬を見つけたい」です。特に、精神疾患と神経変性疾患の病因解明、モデル動物の作成、診断法、医薬品につながる化合物、医薬品候補の化合物の評価を中心に行っています。うつ病、統合失調症、双極性障害、社会性障害、不安症など患者さんの症状がよくなること医薬品の創生を目標にしています。最近では、長寿遺伝子の研究も始めています。超高齢化社会の中で、健やかに人々が過ごせるための医療に貢献したいと思っています。加えて、大きな社会問題となっている依存性薬物の研究も行い、ニコチン、覚せい剤、危険ドラッグの毒性や依存性のメカニズムを解明し、治療薬の開発も行っています。研究手法としては、行動薬理学を中心として、細胞生物学、分子生物学や細胞薬理学等、多くの技術を駆使して、脳や神経の機能を多角的に評価しています。免疫染色法、in vivo マイクロダイアリシスや電気生理学等の機器も現有し、研究室員の方々が、自由な発想で色々な実験をすることを可能とし、自分たちが見つけた病因因子や医薬品を世界に向けて情報発信し続けていきたいと思っています。共同研究では、生活習慣病(糖尿病、高血圧症、無呼吸症候群、肥満)や疼痛についても原因解明をしようとしています。
特許

出願番号:2007-505883 / 特開番号:再表2006/093034 / 登録番号:4942044

精神障害関連遺伝子及びその利用

【課題】精神障害の治療や診断に有用な手段を提供することを目的とする。精神障害に有効な化合物のスクリーニング方法であって、(1)配列番号1の塩基配列を有する遺伝子、配列番号2の塩基配列を有する遺伝子、配列番号3の塩基配列を有する遺伝子、及びこれらの相同遺伝子からなる群より選択される遺伝子(対象遺伝子)を発現する細胞を用意するステップ、(2)前記細胞に試験化合物を曝露するステップ、(3)試験化合物の曝露後の前記細胞における、前記対象遺伝子の発現量を測定するステップ、(4)試験化合物の曝露による、前記対象遺伝子の発現量変化を求めるステップ、を含むスクリーニング方法。

【解決手段】


出願番号:2011-126100 / 特開番号:2012-018160 / 登録番号:5876673

精神障害の診断方法および診断薬キット

【課題】精神障害を体外診断することができる診断薬キットおよび診断方法の提供。

【解決手段】本発明の診断薬キットで、被験体であるヒトまたは動物の血液または尿のShati含量を測定することにより、精神障害の有無やその程度を知ることができ、被験体が薬物依存症、統合失調症、鬱病など精神関連疾患に罹患しているか否か、それら疾患の病状の進行状況などを知ることができる。従って、薬物依存症、統合失調症、鬱病など精神関連疾患の治療のために有用である。


出願番号:2017-148780 / 特開番号:2018-024654 / 登録番号:

プロポリスのミセル化抽出物を有効成分とする認知機能の改善剤

【課題】NMDA(N-メチル-D-アスパルテート)受容体の機能低下による認知機能の低下を改善するプロポリス組成物の提供。

【解決手段】好ましくはミセル化抽出物が、水素結合し得る複数個のOH基含有媒体に可溶のプロポリス成分であるプロポリスのミセル化抽出物を有効成分とする認知機能の改善剤。更に好ましくは、プロポリス成分が、プロポリス片又はプロポリス粉末を、ポリオール・脂肪酸エステル系界面活性剤が均一溶解或いは安定分散された水素結合し得る複数個のOH基含有媒体中に存在させ、50~100℃の温度条件で混合撹拌することで得られたものである。プロポリスのミセル化抽出物は、そのまま用いる又は、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤等の経口剤に製剤化して経口的投与する方法。


論文

(1)依存症の現状-アルコールおよび向精神薬の乱用について

新田淳美

ファルマシア47;839-843(2011)


(2)Decreased DNA methylation in the Shati/Nat8l promotor in both patients with schizophrenia and a methamphetamine-induced murine model of schizophrenia-like phenotype.

Uno K, Kikuchi Y, Iwata M, Uehara T, Matsuoka T, Sumiyoshi T, Okamoto Y, Jinno H, Takada T, Furukawa-Hibi Y, Nabeshima T, Miyamoto Y, Nitta A

PlosOne, 2016, 11(6):e0157959


(3), Induction of neuronal axon outgrowth by Shati/Nat8l by energy metabolism in mice cultured neurons

Sumi K, Uno K, Matsumura S, Miyamoto Y, Furukawa-Hibi Y, Muramatsu S, Nabeshima T, Nitta A

Neuroreport. 2015, 26: 740-746.


(4)Overexpression of Shati/Nat81,an N-acetyltransferase,in the nucleus accumbens attenuates the response to methamphetamine via activation of group Ⅱ mGluRs in mice.

Miyamoto Y, Ishikawa Y, Iegaki N, Sumi K, Fu K, Sato K, Furukawa-Hibi Y, Muramatsu S, Nabeshima T, Uno K, Nitta A

Int J Neuropsychopharmacol. 2014; 17: 1283-1294


科研費

(1)薬物乱用防止を目指した薬物乱用患者とSHATI/NAT8Lの遺伝子関連解析

挑戦的研究(萌芽) 2017-06-30 ~ 2019-03-31


(2)双極性障害治療薬の開発を目指した新規動物モデルの作製

挑戦的萌芽研究 2015-04-01 ~ 2017-03-31

双極性障害は、躁と鬱の両方が病態として観察され、思春期の男女で発症する疾病である。今まで、モデル動物もなく、病因が明確でないことから、抜本的な治療薬もなかった。我々は、Piccoloという分子が、双極性障害に関係している可能性について培養細胞を使った実験で示している。そこで、本研究においては、双極性障害モデルマウスの作成に挑戦する。さまざまな行動実験を実施し、双極性障害患者の病態に迫るモデルを目指す。さらに、本モデルを用いて、双極性障害の原因を解明するために、最新の光刺激反応実験と、我々が今までに培ってきたin vivo マイクロダイアリシス法または多電極細胞外電位記録システムを組み合わせることで、脳のどの部位のどの細胞の異常によって双極性障害が発症するのかについて病因解明に挑んだ。


(3)危険ドラッグの生体への障害メカニズムおよびShati/Nat8lによる保護効果

基盤研究(B) 2015-04-01 ~ 2018-03-31

危険ドラッグはカチノン系とカンナビノイド系に大別される。メタンフェタミンおよびテトラヒドロカンナビノール (Tetrahydrocannabinol; THC)が前者および後者のそれぞれ代表である。マリファナ成分にも含まれるTHCの毒性や依存性に対するShati/Nat8lの抑制効果を本年は検討した。Shati/Nat8lを組み込んだウィスルベクターをマウス脳に注入し、側坐核でのShati/Nat8lの発現量を増加させた。THCの投与は、不安作用や鎮痛作用を発現させるが、マウス側坐核でのShati/Nat8lを発現増強させることで、これらの作用を部分的に抑制した。
また、カチノン系薬物の代表であるメタンフェタミンによって、Shati/Nat8lの発現量が増加することを我々は今までにも明らかにしていたが、マウス側坐核における調節機構についても分子生物学的に検討をした。Shati/Nat8lのプロモーター部位については、今までに全く明らかにされていなかったが、マウスShati/Nat8lのプロモーター部位を明らかにし、3つの転写調節部位があることを示した。その中で、サイトカインおよびcAMPの反応性のあるドメインがメタンフェタミン誘発の発現増強に効果があることを証明した。
本研究結果は、危険ドラッグのカチノン系とカンナビノイド系の両方について、Shati/Nat8lに保護効果があること、さらには、発現調節作用があることを明らかにし、依存薬物乱用のための予防、診断および治療法につながることが期待される。


(4)神経・精神疾患に関与する新規分子の機能解明および臨床応用への可能性

基盤研究(B) 0000-00-00 ~ 0000-00-00

背側線条体にShatiを発現させた(dS-Shati)マウスは、その対照(dS-Mock)マウスと比較して、うつ様症状を評価するtail suspension試験および強制水泳試験における無動時間の有意な延長が観察された。一方、側坐核にShatiを発現させた(NA-Shati)マウスでは、その対照(NA-Mock)マウスと比較して、これらの試験における無動時間に変化は見られなかった。自閉症様行動や社会性行動を評価する新奇物質ケージおよび侵入マウスケージを用いたthree chamber試験において、それぞれの対照マウスでは侵入マウスに対するアプローチ時間の有意な延長を示したが、dS-ShatiおよびNA-Shatiマウスはともに、両ケージに対して同程度のアプローチ時間を示した。新奇環境下での行動量測定による探索行動意欲の検討では、dS-ShatiおよびNA-Shatiマウスは、各対照マウスと比較して、顕著な行動量の変化が見られなかった。また、Y-maze試験における短期作業記憶およびnovel object recognition試験における物体認知能力の検討に関しても、dS-ShatiおよびNA-Shatiマウスは、各対照マウスと比較して有意な変化を示さなかった。


(5)新規薬物依存タンパクshatiの生理機能解析

挑戦的萌芽研究 0000-00-00 ~ 0000-00-00

アルツハイマー・パーキンソン病などの神経変性疾患および統合失調症やうつ病など精神疾患をもつ患者や年々増加している。最近は、遺伝的要素と生後の環境因子によってこれらの疾患の発症リスクが変化することに注目が寄せられ、多くのグループが研究を行っている。我々は、最近、覚せい剤を連続投与したマウス側坐核から新規遺伝子を見出し同定に成功し、shatiと命名した(NCBIアクセスナンバー ABA54615)。本年度は、本遺伝子が過剰発現と欠損した遺伝子組み換えマウスの作成に着手した。
受精卵にそれぞれの遺伝子を含むベクターを注入した後、メスマウスの子宮に入れ、着床および妊娠させた。その結果、得られた子供をF1として、便宜上、由来受精卵ごとに系統に番号をつけ、いずれの系統が過剰にそれぞれの蛋白質を発現しているかを比較し、実験に用いるマウスの系統を決定した。
Shati遺伝子過剰発現マウスでは、強制水泳やマウス尾懸垂試験で無動時間の延長が観察された。また、未知のマウスとの接触時間を指標とした社会性行動試験では、他のマウスとの接触時間の短縮が観察された。逆に新規物体への接触時間は有意に延長した。新規物体探索試験や水探索試験での学習・記憶能力には変化が観察されなかった。以上の結果から、物体には執着するが、他者への執着が少ないことが示唆され、精神疾患モデル動物として利用できる可能性が考えられた。